Skip to Main Content

リーダーのアセスメントは

どうすべきなのか?
2016年8月

どのエグゼクティブをシニア・リーダーシップ(上級幹部職)の任にすれば成功で、どのエグゼクティブはリスキーなのかを正確に予測するというのは、どの企業にとっても重要でありチャレンジングなことです。

では、なぜ、その決定はそれほどチャレンジングなのでしょうか?

第一に、そのエグゼクティブが、それまでとは比べようがないほど大きなスコープにおいて、はるかにダイナミックで複雑な役割を全うすることが求められる状況下で成功できるかどうか、そんな決断が必要だからです。

残念ながら伝統的なアセスメント方法は、ある個人が自身の能力を超えて、新たな職務を成功裏にやり遂げ、組織を変革させることができるかどうかを予測するようには設計されていません。

さらに言えば、候補となるエグゼクティブたちは、既に高い業績を収めている人たちです。一般的な知能テストでも、100人中、平均で上位15番目以内という高い成績を収めている一群の人たちです。

もっとも、この種のテストはエグゼクティブの能力を特定してアセスメントするためのテストではないので、良いリーダー、偉大なリーダー、さらには希代の優秀なリーダーというような差異をはっきり測ることはできません。

トップレベルのエグゼクティブは、説得力を持って自分たちの能力や経験について語るものです。彼らは他者に影響力を行使する立場にあり、多くの場合、それが得意なのです。これらの能力を有する者が有能なリーダーになるわけです。だからこそ、包括的で、正確なアセスメントをすることが非常に難しいのです。

では、組織はどうやって、この最も難しい、シニア・リーダーシップを評価・任命する能力の向上という命題を達成できるのでしょうか。

組織にとって最も重要なリーダーシップポジションにつくエグゼクティブを選定し、育成していくかの意思決定において、どのアセスメント方法がより確信を深めるための示唆を与えてくれるのでしょうか。

エグゼクティブ・サーチを行い、リーダーシップに関するアドバイザーを60年間務めるなかで、弊社はさまざまな経営環境におけるリーダーシップについて観察し、学び、各クライアントが自分たちの組織に必要なリーダーシップについて考え、ビジスに最大限の貢献をするシニア・エグゼクティブを選び、育成するための見識を得てきました。

本稿では、最も有効なエグゼクティブ・アセスメントの特徴について探求し、弊社が見つけた原理を基に開発したアセスメントによって、一般的な方法において不足している点をどうカバーし、もっとも重要なリーダーシップに関する意思決定のための洞察をどのように得ることができるかを論じてみたいと思います。

深層な洞察力を駆り立てる、最も有効なアセスメント

最も有効なアセスメント手法は、伝統的なアセスメントの問題点を解決し、特に以下の特徴を備えます。

有能なエグゼクティブ・リーダーシップの要になる能力を測定できる
この世には、さまざまな次元において、人をアセスメントする何千ものアセスメントツールが存在します。知能検査(IQ)から、人格テスト、専門知識能力テストまでいろいろです。もっとも、すべての方法が有効なわけではありません。まず言えることは、アセスメントされる人の特有の性質に合わせた方法が必要になってくるということです。ビジネスリーダーの場合、「厳密なテスト」とは、エグゼクティブの将来のパフォーマンスを予測できるものをいいます。

組織におけるリーダーシップの役割は、継続的に外部環境を解析して何が業績に影響を与えるかを知ることにあります。そして従業員、シニアチームだけでなく組織全体を通して、業績を長期にわたり高めていくことです。そのためには、シニア・エグゼクティブが職務、業種、地域に関わらず、いかんなくリーダーシップを発揮することが必要です。有効なアセスメントは、こうしたリーダーの重要な能力を客観的な尺度で点数化 し、個々人を比較できるとともに、各々に与えられた役割に対して求められるコンピテンシーの基準値と比較することも可能にします。

個別の状況に関連するリーダーシップの文脈を考慮に入れている
皆様の多くは、同じ人が同様の指示に従って、ほとんど同様なことを行うにもかかわらず、ある時は素晴らしい成功を収め、またある時は、とんでもない失敗をしでかすといった例を思い出すことができるでしょう。これは、なぜでしょうか?

実はコンテキスト……物事の成り立つ状況とも言える文脈が重要なのです。個々のリーダーがいかに素晴らしい実績を挙げ得るかは、彼らの能力やリーダーシップのスタイル、あるいは専門知識がどのくらい、彼らに与えられた特定の役割に求める事項に適合しているかに少なからず相関しているからです。それ故に、エグゼクティブ・アセスメントは、リーダーシップに求められるコンテキスト(文脈)についての十分な理解に基づく必要があります。

将来への潜在的可能性を成長に合わせた物差しで評価する
エグゼクティブのアセスメントをするとき、表に現れた能力は、単に全体の一部を表しているにすぎません。なぜかと言えば、それまでに蓄えられた知識や人脈といったものは、組織における地位が上がっていくにつれて新たな難局を乗り切り、ビジネスの目的を達成していくためにそれほど有効でなくなっていくからです。

置かれている状況が変化すると、エグゼクティブというものは、具体的な情報が少ない中でも、より広範囲で複雑な問題に立ち向かわなくてはなりません。どんな時でも明確な計画を概念化し、組織全体に啓示を与え、奮起させ、動機付けをして行動させる必要があるのです。

このような理由で、エグゼクティブのアセスメントは、個人の能力が新しい能力を会得し続けられるか、そして変革期のリーダーシップという要求に応えられるか、事業拡張や事業の優先順位に常に対応できるかどうかについての適格な判断を提供できるものである必要があるのです。

最適なアセスメントというものは、誰でも潜在的な可能性を有し、成長し続け、能力向上することができるという概念で考えられています。エグゼクティブの成長に合わせた物差しを活用したアセスメントは、評価される側にとっても価値のあるものと受け止められ、参画意欲を高め、そのエグゼクティブが建設的なフィードバックをさらに活用していく可能性を高めます。

正確性のために複数の手法を含んでいる
ご承知の通り、たった一つのアセスメント方法では決して十分とは言えません。シニア・エグゼクティブのアセスメントでは特にそうです。いかに一つのアセスメントのツールが素晴らしくても、全員に適しているとは限らないからです。いかにツールが優れていても、一つの方法だけではリーダーシップの重要なポイントを網羅することはできません。

効果的なアセスメントというものは、エグゼクティブを多角的に、あらゆる視点から評価する方法論を用いることで、能力、知識はもとより、やる気や価値観、人格といった個々人の全貌を浮き彫りにすることができます。

個々人の経験について聞くインタビュー、対人関係のスタイルに関するアンケート質問、リアルタイムで実施するケーススタディ、360度のフィードバックやレファレンスなどを組み合わせる手法が、アセスメントの全般的な正確さを高め、そのエグゼクティブに関する、示唆に富む、包括的で力強い洞察を提供してくれます。

スペンサースチュアートのアセスメント手法:パフォーマンスの向上への豊富な貢献実績

効果的なアセスメントの土台は、組織におけるエグゼクティブのリーダーとしての役割についての包括的な視点、およびリーダーシップの特定要件です。

弊社は、パフォーマンスについて幅広に調査し、リーダーシップが組織に及ぼすものは何か、与えられた状況の下で必要とされるリーダー像はどのようなものか、について考える助けとなるフレームワークを開発しました。

弊社のモデルは以下のようなものです。

  • 組織の置かれた状況の文脈
    リーダーが対応しなければいけない、短期的、長期的に重要な課題、あるいはチームや組織全体、またビジネス環境から突きつけられる制約条件など。
  • 性格や対人関係におけるスタイル
    どんな人なのか? その人の性格、感情的動機付け、価値観、リーダーシップのスタイル……、など組織(企業)文化と関連づけて考慮する際に重要となるものすべて。
  • 現在の能力と潜在能力
    職務に関連したリーダーとしての全般的なコンピテンシーを構成する知識、スキル、および深層にある特性。
  • リーダーシップの成果
    個々の文脈における個々人の性格と能力を交差させたときに期待される成果。

このフレームワークを応用することで、弊社は、もっとも難題となっているリーダーシップ決定のためのアセスメントを考案しました。これは、同僚と比較した場合の、また状況対応的に発揮されると期待されるエグゼクティブの性格や能力について、非常にユニークで包括的な洞察を明示してくれます。そして、高い手腕を持つ弊社のプロフェッショナルと手法および包括的なアセスメントを合わせることにより、リーダーの成功の予測可能性が高まります。

弊社のアセスメント

組織文化

組織(企業)文化は企業戦略を下支えすることもあれば、害することもあります。弊社はそうした組織文化と戦略を結び付けてアセスメントし、クライアント企業が望ましい文化を作り上げる手助けをします。そして、組織文化を構築し、どのエグゼクティブがその組織文化に手を加え、また新しい文化を形成するのに適しているかを評価することを支援します。

組織文化をアセスメントする弊社のフレームワークは、各々の組織や、所属する個人が、組織のダイナミズムが有する二つの重要な次元の間に存在する固有の緊張関係を探り当てなければいけないという洞察に根付いています。それは、

  • 人に対する志向~自主性から相互性まで
  • 変化に対する志向~柔軟性から安定性まで

この基本的な洞察を応用することで、8つの基本的、かつ普遍的なスタイルを確認することができました。このフレームワークは、組織文化における、大変複雑で多様な行動パターンを診断するために使うことができ、また、個々のエグゼクティブが、どのようにその文化に適合するかを知ることもできます。このモデルでは、同じ言語を用いて組織文化と個人のスタイルの双方を特徴づけることで、組織文化との適合性のアセスメントとしてわかりやすく、アクションにつなげることが容易となります。

弊社のアセスメント手法

リーダーシップ能力のフレームワーク:6つの主要な能力軸

140以上の既存のアセスメントモデルを調査し、また弊社の何万件ものエグゼクテイブのアセスメント経験を基に、弊社はリーダーシップのパフォーマンスを高める6つの主要な能力軸を抽出しました。弊社は持続的に、以下に述べる能力軸によってエグゼクティブをベンチマークしています。加えて、クライアントのニーズに応じて、他のより専門的な能力のアセスメントも行っています。弊社は、リーダーシップのあり方の深化に合わせて能力軸の開発を継続して行っています。

Business Outlook - WCD 2016

シニア・エグゼクティブレベルのマーケットとアセスメントにおける深い経験

とても洗練されたフレームワークとプロセスを持ってしてもなお、経験豊富で優れたアセスメントの専門家なしには、失敗も起こり得るものです。サーチ・ファームとして、弊社はこの道に精通しています。弊社のアセスメントチームは3つの点で、他に抜きん出たチームです。

  • CEOおよびエグゼクティブ・リーダーシップに対する理解
  • ビジネスとマーケットに関する知識~業界別、地域別、マーケット別
  • 弊社のアセスメントに特化した専門家チーム

弊社の、能力開発にフォーカスしたアセスメントでは、アセスメントに特化したコンサルタントが主担当となります。チームは、洞察力に富んだ客観性と、シニア・リーダーシップについての広範で深く掘り下げた知識を有します。

数多くの高度な心理学およびアセスメントの学位を有する専任コンサルタントは、心理学とビジネスが交差する領域において幅広い経験を持っています。また、チーム内のスキルは、プロジェクトやその他の機会をとらえて常に仲間同士で活用され、研鑽されます。

弊社はまた、エグゼクティブのアセスメントにおいて、マーケットについての洞察力が重要なポイントだと信じています。有能なアセスメント専任コンサルタントと、業界やマーケットを熟知したサーチ・コンサルタントがペアを組むことによって、弊社の選ぶエグゼクティブが、客観的に有能かどうかばかりでなく、マーケット内のピアグループにおいてどの辺りに位置しているかも判断できます。

弊社はまた、特定のマーケットにおいて、決して一般的とは言えない特別な洞察や能力をもつ人物を探さなければいけないといった、非常にハードルの高い状況においても、お役に立つことができるのです。

たとえば、ある企業が、金融のエキスパートでビジネスのエキスパートでもあり、もちろん指導力もあって、ハンガリー語と中国語を話せるというような人物を探している場合、うまく行けば、一人ぐらいは、なんとか候補者を見つけられるかもしれません。しかし、あくまでも、うまく行けば、です。裏を返せば、最悪、候補者が見つからないかもしれないのに時間とお金をかけて社外で探すより、社内で候補者を育てる、あるいは現状では足りない部分もあるのだけど、十分な資質のある人を選ぶほうが良いこともあるわけです。つまりは、履歴書だけでは測れない現実的な選択肢が、アセスメントによって見出だされるのです。

過去と現在の能力を判定し、潜在能力を判断するための、エグゼクティブ向けに特定した方法論

弊社のアセスメントと分析ツールはビジネスのために開発されました。弊社はまず、クライアントと一緒になって、アセスメント対象のエグゼクティブが成功のために采配を振るう場としての戦略上の文脈を定義することから始めます。そのために、職務遂行のためのリーダーシップの明確なゴール、すなわち、測定可能な成果、明確なタスク、行動規範,望ましいリーダーシップ・スタイル、その他、必要な能力を提示するのみならず、ビジネス戦略上の最重要事項を特定します。

弊社の“リーダーシップ能力フレームワーク”は、一連のビジネスリーダーシップ能力の客観的評価を提供します。それにより、各エグゼクティブを他のエグゼクティブと比較できます。評価値が平均であれば、平均的なエグゼクティブという意味であり、トップレベルであれば世界最大級のグローバル企業の傑出したトップ・リーダーたちと比較しても高い評価であることを意味します。

弊社は、過去の経験や現在の能力を見るばかりでなく、未来に対する潜在能力も見ています。一人ひとりの潜在能力を見るための、核になる重要なツールは、「エグゼクテイブ・インテリジェンス・アセスメント」(Exl®)です。

このアセスメントは、エグゼクティブの能力とビジネスに対する影響力を具体的に予測させる特徴に焦点をあててアセスメントするものです。弊社はエグゼクティブたちをIQ数値だけで、ピラミッドの頂上付近の狭い範囲に押し込むつもりはありません。そもそもほとんどのエグゼクティブは、IQ数値において上位10~15%に位置してるからです。

そこで弊社は、エグゼクティブクラスに特化した独自の尺度を開発しました。この弊社固有の方法は、個々のエグゼクティブの成長と、時間の経過に伴う業績を予測できると証明された唯一の方法なのです。

例を挙げましょう。役員級のエグゼクティブで、高いエグゼクティブ・インテリジェンスを有する場合は、キャリアステップにおいて、22%早く昇進しています。簡単に言えば、これらのツールを他の能力やスタイルについてのアセスメントと組み合わせて行えば、あるエグゼクティブがこれまで何を行ってきたか、これから何ができるか、どういう環境であればベストパフォーマンスを発揮できるのか、将来どこまで成長し得るのかを評価できるのです。

弊社はまたリーダーの性格、個人的なスタイルを考慮し、いかにして彼らがビジネスや、組織文化の必要性に適応するかを考慮しています。弊社の組織文化のアセスメント手法は、エグゼクティブの組織文化に与えるインパクトと適合性を計測することが可能で、特定のリーダーシップや組織文化における成長機会についての、実践的な洞察を与えてくれます。各々の組織や各個人は、組織のダイナミズムの、人に対する志向(自主性から相互性まで)と変化に対する志向(柔軟性から安定性まで)という、2つの重要な次元の間にあるということが、弊社の洞察の根源にあります。

エグゼクティブ・リーダーシップとは何かを深く理解しているアセスメントの専門家が行うため、弊社のアセスメントは個人の成長する潜在能力に焦点を当て、特定のフィードバックを用意して、その人のリーダーシップ・スタイルと能力が進化するのを支援します。

弊社のアセスメント

エグゼクティブ・インテリジェンス

エグゼクティブ・インテリジェンス(Exl®)は、スペンサースチュアートによる、シニア・レベル・エグゼクティブの潜在能力を測る実績のある独自の計測法です。この10年間で、弊社はエグゼクティブ・インテリジェンスには3つの側面があることを確認し、シニア・レベル・エグゼクティブの昇進の速度だけでなく、CEOが職務についてから2年間のパフォーマンスの予測にもつながることを見出しました。3つの側面をとらえることで、リーダーが、真のエグゼクティブとしての能力を身につけることができるかどうかという潜在能力を計るとともに、そのスピード感も測るのです。エグゼクティブ・インテリジェンスでは、エグゼクティブ向けのケースを用いて、未経験の状況においての思考能力を発揮してもらいます。過去の経験値によらず、より深層に持っているその人特有の習性、特性を引き出し、そのときの思考能力を分析します。

エグゼクティブ・インテリジェンスの3つの側面

  • 本質的思考と概念的思考
    前提を疑い、成果を予想し、各アクションの価値を判断する。
  • 対人認知能力と社会性
    感情的側面を認識して、特定の状況への反応を予知する。
  • 自己評価と自己修正能力
    新しい情報を受け取り、現在知っている情報と比較し、その上でアクションをとる。

包括的なツールセット複数の視点と成長のための具体的な洞察を提供

アセスメントのためには、良いツールと良い担当者がいることが重要ですが、その両方を正しく組み合わせて使わなければ、失敗することもあり得ます。

弊社は、専任のチームと一連のツール群を提供し、多様な視点からの評価と、クロスチェックでの検証を行うことで、エグゼクティブのさらなる成長への潜在能力に焦点を当てています。

弊社の熟練したアセスメント専任コンサルタントは、多様なツールによる結果をまとめて、部分部分の評価の総和よりも真に優れたものである、一人の人間の全体像についての高次元の洞察を包括的に提供します。

本当の意味で、弊社は人々が最良の運命を見つけ、達成する助けをしているのです。